今回はバイオガスプラントを販売するNASKEO環境株式会社様とバイオガスプラントの設置施工を行う角川建設株式会社様からのご依頼で、バイオガスプラントの模型製作のご依頼をいただきました。
プラントは右の写真の用に円形の発酵槽と様々な機器が入っている20フィートコンテナで構成されております。
当初は1/90スケールで模型を製作予定でしたが、3Dプリンターの造形サイズ等を加味して1/60までスケールアップしました。
模型サイズは発酵槽が直径約150mm、コンテナの長さが約100mmとなります。
早速SolidWorksを用いて発酵槽と20フィートコンテナをモデリングしました。20フィートコンテナはネット上に様々なフリーデータが転がっておりますが、今回のコンテナにはオリジナルの換気口ルーバー、社名ロゴ入り看板の設置、3Dプリントを行う上での制限(リアルサイズをそのまま縮尺すると3Dプリントでは表現できない部分)があるため、今回は弊社でイチからデータを作成しております。
特にコンテナドアの開閉部分にはロック機構を始めとする細かな部品が付いています。3Dプリンターの解像度的に無理のない範囲で最低限の脚色施します。
発酵槽も同様に周囲に配置されたパネルを接続するボルトを3Dプリンターで表現できるギリギリの大きさにして配置しました。
3Dプリント(光造形)用のデータを作ります。発酵槽は縮尺しても直径150mmあるため、最大サイズの光造形機であるPhenom-Lを持ってしても1度に2個造形するのが限界です。対してコンテナは中型サイズであるPhenomでも6個でも余裕で同時造形が可能なサイズになります。
写真の通り内部にはサポートという構造物があり、外からは見えませんが、3Dプリント中に屋根の部分を支えて造形が成り立ちます。
3Dプリント完了後の写真、Phenomは構造上逆さまに3Dプリントされるため、逆さまの状態で、表面はレジンが付着しているため、オイルまみれの状態と同じです。
3Dプリント品をビルドプレートから取り外し重さを計測。(毎回3Dプリント終了後に行います)
発酵槽は内部にサポート柱が密に立っている&ラフトという土台を付けているため、かなり重たくなっています。
3Dプリント直後は重たかった発酵槽もラフトとサポートを除去すると6割程度の重さになり、コンテナモデルと一緒に塗装治具に取り付けし、サーフェイサーを塗装します。発酵槽はグレーのサーフェイサー、コンテナにはホワイトのサーフェイサーを塗布しました。
発酵槽は屋根と壁で色の塗り分けがあるため、マスキングテープを使って塗り分けを行います。
コンテナは塗り分けがないので単色で塗装します。レジンがグレーであるため、隠蔽力が少ないオフホワイトの発色を良くするために、ホワイトサーフェイサーを塗ってグレーを隠蔽してからオフホワイトを塗りました。ちなみにこのオフホワイトは弊社オリジナル調色です。ホワイトとあまり見分けがつかないくらい優しいオフホワイトですが、ホワイトと並べてみると色の違いがよくわかります。
塗装後、企業ロゴを貼り付けて完成です。
発酵槽とコンテナを並べてみた感じです。コンテナには底面があるのですが、発酵槽には底面がないため、サービスで後付けタイプの底面(コンクリートスラブ)を取り付けることにしました。
コンクリートスラブに近い色に調色しつつ見える部分位だけ塗装しました。この時点でお客様に発酵槽とコンテナを発送していたため、全て組み込んだ状態は確認できませんでしたが、発送前に別の底面と発酵槽のハマり具合を確認していたため、ピッタリはまる底面(コンクリートスラブ)が完成しました。ちなみにこの部品は光造形ではなく熱溶解積層方式3Dプリンターにて造形を行いました。
写真提供:NASKEO環境株式会社様
写真提供:NASKEO環境株式会社様
今回の模型は2023年7月6日~10日まで開催される第35回国際農業機械展in帯広にて、NASKEO環境株式会社様ブース内の展示用模型として使用されました。お写真の提供、及びお仕事のご用命ありがとうございました。
角川建設株式会社 様
http://www.kadokawa-grp.co.jp
NASKEO環境株式会社 様
https://naskeo-biogas.co.jp