巨大水晶用台座制作

巨大水晶用台座制作

今回の台座に鎮座する巨大水晶とは

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今回製作した台座は、2024年8月タイ南部のとある場所で、神聖な儀式を行い出現した巨大水晶を鎮座させるための台座です。

この巨大水晶は主にガラス質ですが、内部に金属質な物質も入っており、直径480mm、重量173.8kgという非常に大きな真円球体です。写真ではタイヤも一緒に写り込んでいますので、その大きさがよくわかります。

以前のムチャの記事に引き続きオカルト的な要素を感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、これも紛れもなく筆者の眼の前で起きた事実です。

余談ではありますが、2018年にもタイで更に大きな直径600mm、重量300kgの巨大水晶(こちらも内部に金属が入っている)の出現を目撃しており、到底現代の科学技術では製造できない大きさの水晶球体でしたので、今回の巨大水晶の出現も、慣れたせいか、それほどの驚きは感じませんでした。

この巨大水晶はタイから岐阜の寺院へ運ばれ、お祀りされるのですが、そのお祀りする際の台座を今回弊社に製作ご依頼をいただきました。

重量物を支える台座設計

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今回の台座で最も重視するべきポイントは、鎮座する物が重いため、その重さをシッカリと支えることができる機能面の設計と、日本の伝統的な寺院内の台座デザインを融合させつつ、特別な神聖物を鎮座させるのに相応しい豪華な装飾をイチからデザインすることを決めました。

台座サイズ的に弊社の3Dプリンターに入るサイズではないため、メインボディー筐体は外注の木工工場で製造し、大小装飾を弊社で製造する、木工と3Dプリントのハイブリッド製造方式を採用。

また今回は装飾に金メッキを施す初の試みに挑戦しました。3Dプリンターで製造した装飾にこれまで金塗装はしてきましたが、仏具用金メッキを施すのは初の試みです。

黄金比と神の数値へのこだわり

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今回デザイナーとしてとことんこだわり抜いたのは、黄金比と神の数値である9です。

巨大水晶を台座に鎮座させた状態を横から見て、台座部分の高さが1とした場合、水晶の見える部分の高さが1.618、台座の幅がおおよそ1.618になるように、黄金比でデザインしました。

また幅や厚み、細かなRなど全て、神の数値である9の倍数を小数点単位で入れ込み、細部までこだわりのデザインになっています。

装飾デザインは手書きからの地道な作業

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弊社の装飾デザイナーは長年の経験から台座に適した装飾をイチからデザインします。その手法は手描きも取り入れつつ、立体設計を紙ベースで行った後、スカルプト系3D-CADを用いて3Dデータを作り上げて行くという特殊な手法で装飾形状を作り上げていきます。

アナログでもデザインを起こしつつ、デジタルデータでもデザインを作って二度手間と感じるかもしれませんが、3Dで複雑な曲面をデザインする際には、あらかじめ2Dで設計した立体イメージがあったほうが作業効率良く3Dモデリングを進めていくことができるのです。

木工による筐体メインボディー作成

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製作途中に外注の木工業者から送られてきた写真です。メインの支柱8本の他、内部に追加で補強柱を入れる予定もありましたが、強度計算的に内部支柱は必要ないという計算でしたので、内部は空洞となりました。今回はクライアント様である寺院から、中に寄進者名簿の巻物を入れたいご希望があり、空洞としております。
巨大水晶の座面は、水晶のRに合わせて設計してNC加工を施していただきました。

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こちらは塗装後に送られてきた写真です。表面に目止め塗装を施して塗装しているため、表面は滑らかになり、日本塗装工業会の色見本から選択した色指定で塗装していただきました。

写真では上下で大きさの差が見られませんが、実際は底面が広く、天面が若干小さく、柱や側壁はテーパーしています。

また今回は座面にウルトラスエードという人工皮革を採用し、これまで採用していたフェルトと比較して更に高級感が上がりました。今後製作する台座にも順次採用していく予定です。

装飾製作過程

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装飾のデザインは、ベース部分とその上にのる装飾部分の2構成ですが、ベース部分をパラメトリック3D-CADでモデリングし、装飾部分を前述のスカルプト系3D-CADでモデリングして、後に合体させるというハイブリッドモデリングで3Dデータを作りつつ、光造形による3Dプリントを行いました。

台座を使用する寺院は日本、鎮座する物はタイから来ている物ですので、壁面装飾以外の細かな装飾デザインは、タイ様式デザインと日本のデザインの融合しています。

48点の装飾1つ1つに塗装治具を作り、その後のメッキ業者での塗装しやすさとメッキムラが出ないように配慮しました。

メッキ加工の前工程としてウレタンブラック塗装を施しました。これはメッキ業者でも行ってもらえますが、メッキ単価が高くなってしまうため、経費節約のため弊社で行いました。

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ウレタン塗装をしっかり乾燥させた後、48点の装飾を1点1点梱包して、塗装治具を同梱してメッキ業者へ送ります。納期は1ヶ月程度でした。

約1ヶ月後メッキ加工業者から装飾が戻ってきました。開梱してみると細かな装飾32点に明らかなメッキムラ(メッキされず黒い地肌がそのままになっている部分がある)があり、メッキ業者に再加工を依頼し快くご対応いただき、1週間程度で完璧なメッキ状態で仕上がって戻ってきました。

前述の再加工で完璧に仕上がった装飾は、さすがの仏具メッキということで、塗装のゴールドにはない独特の金属光沢鏡面仕上げとなっており、とてもベースが3Dプリント品とは思えない素晴らしい装飾となりました。

組み立て作業

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木工業者から仕上がってきたメインボディーの筐体に装飾を仮にはめてみた状態です。装飾が筐体にシッカリ固定されるように組み立てていきます。

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装飾は、取り付け治具を作り、位置が規定の位置になるように、取り付けています。

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メッキ装飾を傷つけないように慎重に下穴を開けていきます。

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最後は金メッキ釘を、釘自体が傷つかないように銅ハンマーで打ち入れます。

台座の梱包作業

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木工業者に専用ダンボールをオーダーしており、そのサイズに合わせて緩衝用発泡スチロールをカットし、輸送中に強い衝撃が加わっても台座にダメージがないように梱包しました。

台座の開梱

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2024年10月某日、お客様である岐阜県の寺院に出張し、開梱作業と実際に巨大水晶を鎮座させる作業をお手伝いさせていただきました。

成人男性4人がかりで巨大水晶を持ち上げて、無事台座に鎮座していただきました。台座は堅牢な作りであるため、173.8kgの塊がのっても全くきしみ音もしませんでした。

ちょうど翌日から寺院で特別な行事が開催される予定でしたので、直前に間に合い納品できたこと嬉しく思います。