今回の題材は、歯科3Dスキャンになります、従来の古典的な型取り方式と比較してどんな違いがあるのかをご紹介します。
今回筆者は口腔内のメタルフリーを目的として、従来奥歯に装着されていた銀歯を全て除去したのですが、その際に使用した歯科用3Dスキャナが非常に優秀であったため、今回本ブログで紹介させていただきたいと思います。
今回歯科3Dスキャナーの取材に協力していただきました、ユアデンタルオフィスの髙橋院長に感謝申し上げます。
3Dスキャナの紹介
SHINING 3D社の「Aoralscan 3」という歯科用3Dスキャナです。ハイスペックなGPUを搭載したパソコンとセットになっており、専用アプリケーションで素早い3Dスキャンが可能となっております。画像ではちょうど3Dスキャナーのウォーミングアップ中です。
①歯の形状取りの時間が圧倒的に短い
被せ物(クラウン)を作るために、まずは歯の形状データを取る必要があります。
従来のやり方は、ガムのようなグニャグニャしたシリコンゴムを口の中に入れて、硬化を待ち、取り出したシリコンゴムに石膏を流して、歯のマスターモデルが完成という流れですが、経験者ならご存知の通り型取りにはそれなりの時間がかかります。
それに対して、口腔3Dスキャナーを用いて歯の形状データを取る場合は、上顎下顎合わせても1-2分程度で完了します。
口の中を3Dスキャンされている時に、マシンガンのような速さでカリカリ音がします。その音1つ1つが写真1ショットの音のようで、この短時間で800枚前後の写真を撮影して瞬時に合成、3D化しているようです。たったこれだけの作業で歯全体のマスターモデルが3Dで完成してしまうといのがとても画期的です。
実際に今回撮影していただいた筆者の歯のデータ
②型取りと比較して寸法精度が高い
従来のシリコンゴムと石膏を用いた古典的な型取り手法には、寸法精度を狂わす問題点が2つあり、1つはシリコンゴムの膨張、1つは石膏の収縮、これらはごく僅かなものなので、収縮と膨張でだいたいは相殺されるのですが、それでも3Dスキャンした歯のデータと比較すれば、寸法精度は悪いとのこと。3Dスキャンしたデータには収縮も膨張もありませんので、型取りと比較して精度の高いデータ取りができます。その結果として精度の高い被せ物ができるわけです。
実際に今回の3Dスキャンによるマスターモデルから製作されたジルコニア製の被せ物
③装着時の修正が少ない
上記の通り、口腔3Dスキャンによって得られたマスターモデルデータは従来のシリコンゴムによる型取りと比較して、寸法精度が良いため結果として、はまり込む被せ物の寸法精度も高くなり、その結果被せ物の装着時の修正時間は短くなり、患者の負担が大幅に減ります。
今回の筆者のように、神経が剥き出し状態で、被せ物の調整のために、何度も付けたり外したりするのは、非常に苦痛です。親知らずが悪さして、麻酔が全く効かない状態での治療だったためです。そんな大変な治療時に、被せ物の修正時間(修正回数)が少ないことはとてもありがたいことです。
では型取りと比較して調整時間がどれくらい短くなったか、院長にヒアリングしてみたところ、従来の型取りでの詰め物調整時間は90分程度、口腔3Dスキャンからの被せ物の場合30分程度、つまり調整時間は1/3に短縮されます。これは患者の負担を考えると物凄い大きなアドバンテージだと感じました。実際今回筆者の調整時間は30分程度でした。
④自分の歯の形状データをスマフォの中で簡単に確認できる
3Dスキャンされた歯のデータは、専用のクラウドに保存され、患者はいつでも自分の歯の3Dデータにアクセスすることができます。患者がアクセスできるQRコードが発行され、パソコンからでスマフォからでも簡単にアクセスすることができます。画面内で自分の歯をクルクル回転させたり、顎を開けたり閉じたり、上顎下顎を別々に見ることも可能です。
ジルコニア製被せ物装着の感想
天然歯と比較して、表面のセラミックが滑らかでツルツルして気持ち良いです。素材的に色素沈着はしないので、周りの歯の色が変化してもこの人工歯の色はそのままのようです。見た目も天然歯と比較してきれいでピカピカです。
2年間の保証がついていますので、もし割れた場合も修理対応してくれるようです。
今回お世話になったユアデンタルオフィスでは、詰め物(インレー)は歯科レジンの保険対応で、被せ物(クラウン)はジルコニア(表面にセラミック)の自費診療で対応してくれます。
筆者は全部で5箇所の銀歯のうち、4個所をインレーで、1箇所だけクラウンでメタルフリー化しました。大抵の場合、歯科3Dスキャンは被せ物の場合に使うようです。
ジルコニアの場合は、自費診療ですのでとても高価ではありますが、一生物の歯ですので投資する価値は絶対あると思いました。