3Dプリンターを活用したものづくりについて講師をさせていただきました

3Dプリンターを活用したものづくりについて講師をさせていただきました

コロナ明け4年ぶりのリアルセミナー

前回のブログでも告知させて頂きました通り、2024年2月8日釧路工業技術センターにて開催された「3Dプリンター活用実践セミナー」でセミナー講師をさせていただきました。
釧路市内から学校や企業様々な業種の方々にお集まりいただきまして、釧路市のみならず、弊社と同じ札幌の企業様も来場されていました。今回はコロナ明け初の4年ぶりリアルセミナーということで、久々にフェイストゥフェイスで顔を見ながら充実した内容のセミナーを行うことができましたので、本日はその報告ブログになります。
実は釧路工業技術センターでのセミナー講師を行うのは今回で2回目で、前回は2017年3月でしたのでちょうど7年ぶりのセミナーとなりました。

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7年前のセミナー内容は、3Dプリンターがどのようなものであるか、どのような種類があるのか、そして3Dプリンターを使用したビジネスの具体的な事例をご紹介しつつ、今後の展望や市場規模などについて、お話しさせていただきました。
そして今回発表させていただいた内容は「3Dプリンターを活用したものづくりについて」です。弊社がこれまで10年以上3D-CADや3Dプリンターを使ってどのようなものづくりを行ってきたのかを、ご紹介できる範囲でご紹介させていただきました。
具体的な内容としては、工業デザイン事例、2Dの3D化事例、3プリントによるアディティブマニュファクチャリング事例、3Dモデリング事例、弊社のハードウェア&ソフトウェアのご紹介、弊社がデジタルファブリケーション化した仏像台座製造について、3D-CADのパラメトリックとノンパラメトリックの融合、3Dプリントの失敗事例、自社製品ネット販売事例、などを紹介させていただきまして、予定時間の60分を若干過ぎてしまうくらい内容盛りだくさんでした。

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続きまして、大阪のジェービーエムエンジニアリング株式会社のセミナーです。
以前存在していた紙の3Dプリンターの日本総代理店だった時のお話(製造元のベンチャー企業が販売をやめた時の話)、金属光造形機Meltioで使用するスライサーソフトが弊社でも使用しているスライサーソフトで驚いたり、セミナーのメイン内容である「一気通貫」に関する内容が非常に勉強になりました。

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最後に釧路工業技術センターから、センターが昨年導入した3Dプリンター「AGILISTA-3200」のご紹介がありました。
AGILISTAはキーエンスのロングセラーモデル3Dプリンターです。3200の造形範囲はA4サイズ×H200mm。
センターでは時間貸しでの貸出を行っており、誰でも利用することができます。

3Dプリント品の展示

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今回は同会場で3Dプリント品の展示も行わせて頂きました。(もうちょっと品数あっても良かったですね)
実際に弊社で製作した仏像台座や、内部にワンボードマイコンや液晶タッチディスプレイを搭載した電子デバイス(筐体や内部の部品を3D-CADでデザインして3Dプリント&塗装)プラント模型等を展示。
仏像台座や仏具関係は、実際に持ってみるとその重さに驚く方がいらっしゃいました。みなさんは3Dプリント品といえばプラスチックをイメージされているかもしれませんが、弊社は単なるプラスチックではなく、堅牢かつ丈夫で重厚感がある製品として光硬化樹脂を活用しておりますので、安価なプラスチックイメージとは違い、見ても触っても樹脂製品とはわからない工夫が組み込まれております。

続きまして、ジェービーエムエンジニアリングさんの3Dプリント展示品です。
まずは金属光造形機であるMeltio M450で3Dプリントされたものです。
Meltioの特徴は、粉末の金属光造形機ではなく、熱溶解積層方式3Dプリンターのように金属ワイヤーによる材料供給で金属光造形を行っているようです。しかしベースプレートが必要な点、3Dプリント後にマシニング加工による仕上げ工程が必要である点は粉末タイプと一緒です。
粉末の良い所はサポートが必要ない所ですが、ワイヤー供給で造形を行うとオーバーハング部分にはどうしてもサポート構造物が必要な気がします。(この点について質問し忘れました)
金属ワイヤー供給方式の良い点は、圧倒的メンテンナンス性や段取りのしやすさです。実は私も起業前に粉末焼結タイプの金属光造形機のオペレート業務経験があり、金属粉末の地理扱いの難しさは身にしみて理解しております。
そして近年は材料の進化によって少なくなったというベースプレートの反り問題。金属光造形は溶接ですのでワーク内部に残る在留応力をいかに除去するのかが肝です。

熱溶解積層方式3DプリンターのCUBICONも2台展示されて、実際に3Dプリントデモンストレーションが行われておりました。昔はストラタシス社所有パテントのせいで他社が製造できなかったエンクロジャータイプの熱溶解積層方式3Dプリンターも、2021年に特許期限切れにより、今はこうして普通に色々なメーカーが作れるようになりました。これによってABSなどの反りや変形が出やすい樹脂の3Dプリントの問題も多少は解消されることでしょう。

CUBICONで3Dプリントされた造形品の数々が展示されてりました。(弊社もこれくらい展示品を持っていけばよかったですね)
中でも注目は、工場で使用される加工用治具などに熱溶解積層方式3Dプリンターが活用されており、樹脂であるため金属と比較して強度がないが、それを逆手に取り、金属で掴むとダメージをくらうような被削物を、樹脂製のチャックで掴んで旋盤加工するなどの実例があるとのことでした。また樹脂製の治具に耐久性は求めず、1回限定で使う場合はこの強度で十分な場合が多いようで、微妙な角度の違いなど、多品種に柔軟に対応できる3Dプリンターは治具製作に重宝されているとのことでした。

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更に3DスキャナーであるEinScanの実機スキャンデモンストレーションも行われておりました。スキャン後のごみ取りや穴埋めも簡単で精度良くスキャンできておりました。

謝辞

今回は釧路工業技術センターから貴重な機会を頂きまして、4年ぶりとなる3Dプリンター関連リアルセミナーができたこと非常に嬉しく思います。やはり人前でセミナーするのは楽しいですし、質疑応答で色々な質問をして頂きまして、講師として色々と得るものが多かったです。ご来場していただきました皆様、そして釧路工業技術センターの皆様、ジェービーエムエンジニアリングの皆様、誠にありがとうございました。
弊社はこれからも3D-CAD、3Dプリンター、3Dスキャナーなど3D関連の啓蒙活動、これらに関係するセミナーを行っていきますので、何かございましたらお気軽にお問い合わせ頂ければと思います。