超定番3Dプリンターメンテナンスで見るべき3つの場所

超定番3Dプリンターメンテナンスで見るべき3つの場所

本日は3Dプリンターのメンテナンスについての記事です。3Dプリンターと言っても色々な造形方式のプリンターがありますが、今回は個人でも所有されているであろう、熱溶解積層方式と光造形方式の2種類の3Dプリンターメンテナンスの際に見るべきところを紹介していきたいと思います。

メンテナンスで見るべき場所

  • リニアガイド
  • ノズル・ヘッド(FDMのみ)
  • ドライブギア(FDMのみ)

※FDM=熱溶解積層方式、SLA=光造形方式

基本的な場所は上記の3つさえおさえておけば良いと思います。細かく見ればまだまだメンテナンスするべきところはあります。
消耗した際に交換するものでは、FEPフィルム(SLAのみ)やカプトンテープまたはマスキングテープなど(FDMのみ)

リニアガイドの潤滑性をチェック

リニアガイドはどのプリンターにも存在する精度を出すために重要な場所です。リニアガイドが狂ってしまうと、軸の水平垂直度が出なくなり、そのまま造形品の水平垂直が出なくなってしまいます。リニアガイドを固定するネジの締め付けも重要ですが、それ以上にリニアガイドの潤滑(なめらかな動き)が重要です。

潤滑に使用するのは、グリースまたは潤滑スプレーです。メーカーはグリスを塗ります。グリスの良いところはスプレーと違って飛び散らないことです。特にカプトンテープを使用している場合、テープの上に油分がのってしまうと造形不良になりますし、テープの上のみならず他のところに油がつくと汚れてしまいます。

スプレーの利点は、グリースを塗りづらい場所でも簡単に潤滑できることです。飛び散りさえ防止すればとても使いやすく、グリースのように端に固まることもありません。

弊社ではスプレーもグリースも両方で実験(併用ではなく、3Dプリンターごとにグリースとスプレーで分けている)しておりますが、特にどちらでも3Dプリント性能的に問題はありません。

スプレーは写真の通り、KURE製のもの、グリースについては色々なものがありますが、使用しているのは二硫化モリブデングリース(リチウム石けん基グリース)というものです。

光造形機のリニアガイドはグリース1択

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リニアガイド

Z軸ボールねじ

光造形機の場合は、XYに動作軸はありませんので、Z軸のみのメンテナンスとなります。光造形機の場合、下にはレジンタンク、レジンタンクを外してもDLPがあり、Z軸の直下には位置センサーなど精密部品が多いため、スプレーは使わず、グリースのみを使用しております。

これまでグリース不足でトラブルになったことはありませんが、大きな仕事が一段落したときなど、気がついた際に、古いグリースを拭き取って、新しいグリースを塗ります。写真の通り、リニアガイドと上下運動用のボールねじをグリースアップします。

ノズルの内外チェック

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写真は焦げた樹脂で汚くなった状態のノズルです。普通に使用していてもここまでひどくはならないのですが、何らかの理由で3Dプリントに失敗してヘッドで樹脂を引きずるようなことがあれば、すぐにこんな感じになります。

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硬くこびりついた樹脂には、ワイヤーブラシを使います。(使用する際は自己責任で)ノズル部分はアルミ製ですので、ワイヤーブラシで軽くこする程度であれば問題なく、コゲを落とすことができます。その際にヘッドの温度を230℃くらいに温めておくとより効果的に落とすことができます。これで外側のメンテナンスは完了。

 

次にノズルの中ですが、弊社では定期的にノズルをバラして清掃しております。ですのでノズルの予備がいくつかあり、カートリッジヒーターや温度センサーの予備なども常備しております。

ノズル内部が詰まっているかどうかは、普段からノズル(温めた状態)にフィラメントを手で押し込んでいれば感覚的に、スムーズか詰まっているかがわかります。明らかに硬い場合は、バラして清掃するのが無難です。

ノズル先端のアルミブロックをそのままアセトンに入れて中身のABS樹脂を溶かす方法を使っていますが、溶けるのに時間がかかるため、温度設定可能なハンダゴテで温めて、細い針金や細いドリルを使用して内部を清掃します。ノズル先端を傷つけないように気をつけながら行います。

ドライブギア

フィラメントを搬送するためのドライブギアですが、歯と歯の間にゴミやフィラメントが詰まっていると、フィラメントを搬送する際に滑って、造形トラブルの原因になることもあります。

ギアは外して歯の間に挟まったフィラメントをブラシなどで除去します。歯が摩耗することは稀ですが、摩耗した場合のことも考えて予備のギアをいくつか準備しておと良いでしょう。

この時に気をつけるのは、ギアを固定するイモネジ(ホーローセット)を締め忘れないことです。

 

他にも色々ありますが

大きなメンテナンスポイントは上記の3つですが、他にも消耗品として、ビルドプレート上のテープ関係、光造形機の場合はFEPフィルムの交換などもメンテナンスの中に入るかと思います。

FEPフィルムの交換については下記のブログを参考にしてみてください。