レジンタンクの清掃について
光造形後のレジンタンクは、レジン交換がない限りはそのまま放置しがちなのですが、放置していると1週間後には、レジン内部の顔料とレジンが分離して、顔料がFEPフィルム側に沈殿して、上には透明なレジンが浮くような感じになります。
顔料が沈殿した状態で3Dプリントすると、初期層でUVライトが顔料に照射され、レジンにUVが届かず造形不良になることがありましたので、以後は顔料が沈殿した場合は、一旦レジンをストレーナー経由でボトルに戻して、レジンタンクをイソプロピルアルコールで洗浄してから再度レジンを入れて3Dプリントします。
沈殿したレジンタンクをかき混ぜれば良いように思えますが、かき混ぜる際に、FEPフィルムを傷つけるのを嫌って、手間ではありますが、前述のような手法で、レジンの入れ替え作業を行って3Dプリントしております。手間ですが3Dプリントの成功率が上がり、造形不良による無駄な時間を使わなくて良くなります。
顔料が沈殿したレジンの上面をゴム手袋指で触ってみると、顔料が沈殿していることがよくわかります。
ちなみに透明なレジンの場合は顔料が入っていないため、沈殿現象はおきません。
FEPフィルムは消耗品
レジンをストレーナー経由でボトルに戻しているところです。顔料がフィルムにへばりついておりますが、ドライヤー等で温めて、粘度を下げると下に垂れ落ちてきます。
この後、レジンタンクをイソプロピルアルコールで洗浄しますが、キッチンペーパーでレジンをしっかり吸い取ってから洗浄します。キッチンペーパーは拭き取るのではなく、押し付けて吸収させる感じです。FEPフィルムは摩擦するとどんどん傷が増えていくので、できるだけ傷がつかないように気をつけながら、洗浄を行います。とは言えFEPフィルムは消耗品なので、ある程度傷がついてしまうのは割り切って考えております。
そして次なる造形へ
タンクの洗浄が完了したら、新しいUVがレジンを投入します。今回はスタンダードタイプのブラックUVがレジンを4kg用意しました。
弊社ではレジンを温めてから使います。UVがレジンには使用適正温度がありまして、それ以下の温度帯で使用すると、色々と造形時に不具合があることがあります。特に冷えているUVがレジンは粘度が高いので、ドロドロの状態の場合、気泡が混ざりやすく、造形時に気泡が入るとそのまま造形物の穴になってしまうので、気泡が混ざらないようにするためにも、UVレジンを温めて、シャバシャバにして気泡が抜けやすいようにしております。
温度上げには、MOAI用のヒーターを使っていますが、スタートダッシュ的に温度を上げる際にはドライヤーで一気に温度を上げます。写真を見てわかるように、温度が低いときは、粘度があるので、ドライヤーの風をレジン面に当ててもそれほど波打ちませんが、温度が上がってくると、シャバシャバになり、激しく波打つようになります。また、庫内には温度計を設置して温度管理は常にしております。
今回はUVレジンタンクの洗浄についてのブログでしたが、基本的にタンク内のレジンは、室内にある光造形機の中にあれば、固まることはありません。タンクを外に放置して、太陽光に当たるような場所に置いておくとタンク内のレジンが全て固まってしまうので、お気をつけください。
これから、とあるケースを大量生産していくのですが、その結果はまた次回のブログにて。