低価格UV-3DプリンターMARSのレビュー

低価格UV-3DプリンターMARSのレビュー

昨今光造形3Dプリンター(DLP、LED)が各社からリリースされており、その価格も3万円以下で買えるものがほとんどです。昔は同サイズの小型光造形3Dプリンターは60~70万円前後の価格でしたので、この価格破壊は革命的です。

今日は小型光造形3Dプリンターの中からELEGOO社製MARS 3Dプリンターをレビューしてみたいと思います。
実際にMARSを導入したのは去年2019年12月ですので8ヶ月遅れでのレビューとなります。

UV3Dプリンター価格戦国時代?

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今や大手通販サイトを見てみれば、UVタイプの小型光造形3Dプリンターは多くのメーカーからリリースされております。驚くべきはその値段。各社3万円前後の価格帯で、機能が良いものでも4万円くらいで買えてしまうのです。

造形サイズはだいたいどれも同じくらいのサイズでX120mm前後、Y70mm前後、Z150mm前後、ですので手のひらサイズくらいのものであれば十分作れてしまうサイズ感です。今回MARSを選んだ理由はこれと言って大きな理由はないのですが、他社製品ではレジンタンクからレジンが漏れるからテープを貼るとか情報があったため、一番使いやすそうでレビューもそれなりに良かったのでMARSをチョイスしました。

MARS開封

MARSの梱包をほどいていくと、レジンは付属されておりませんが、ツールキットが同梱されております。
USBメモリ、六角レンチ、ドライバー、レジン用の計量カップ、ニトリルグローブ、ストレーナー(ろ紙)、そしてFDMで3Dプリントされた謎の工具(未だに何に使うか不明)
取扱説明書は全て英語でよくわかりませんので、YouTubeで別の光造形3Dプリンターを使っている人の動画を参考にセットアップしてみました。難しい設定はなく非常に簡単です。

光造形は設定が肝心

設定が肝心なのは光造形のみならず、全ての造形方式の3Dプリンターに共通することですが、光造形の場合は、その名の通り「光」つまり紫外線を当てる時間が設定のキーポイントです。露光時間といいますが、経験が無い人では設定できないパラメーターでして、そのパラメーター設定は使用するレジンの種類や色によっても微妙に違います。

スライサーソフト(CHITUBOX)は付属のUSBに入っておりPCにインストールして使います。ちなみにフリーのソフトですので、公式サイトからダウンロードして最新版を使うことも可能です。日本語対応化されているのも嬉しいです。CHITUBOXはMARSにみならず他社の光造形3Dプリンターで使われているスライサーで、弊社では大型光造形機のスライスデータもこのCHITUBOXを使って作っています。

そして便利なことに露光時間など、全てのパラメーターデータ(メーカー純正レジンのみ)は付属のUSBに入っていますので、設定に悩む必要は全くありません。ELEGOOの場合はELEGOOからリリースされているスタンダードレジン11色の設定が全てをインストールすれば簡単に造形データを作ることができます。ちなみにELEGOO社製のレジンではない、他社製のレジンでも色さえ同じであれば、設定を流用できました。露光時間は色によって微妙に違います。初期露光の層数、露光時間も設定の肝です。

光造形動画

光造形の場合、XYの大小に関係なくZ高さのみが造形時間に反映されるため、3Dプリント時間は非常に速いです。今回の積層ピッチは0.05mmで、高さ10mmくらいの物が約1時間以内には完成。露光時間のパラメーターを変更すれば、造形時間は前後しますが、印象的にはとても迅速に造形ができる感じです。
Z0の調整も紙一枚挟んで造形テーブルのレベル出しと同時に簡単にできるのでとても便利です。

光造形の仕上がり

光造形が終わった後は、表面に付着したUVレジンを、イソプロピルアルコールで洗浄します。UVレジンは油のような感じでまとわりついているので、造形物を脱脂して仕上げます。造形直後はまだ柔らかいため、洗浄後に二次硬化させれば硬くすることができます。
二次硬化は直射日光下に置いておけばすぐに硬くなりますし、405nmのUVライトを当ててあげれば硬化していきます。
二次硬化の際に気をつけることは、反り歪などの変形です。分割造形を行って後から接合しようとしても、接合部分が反っているため接合できないことはよくあります。
そのため案件によっては二次硬化しないまま塗装してUVカット塗装を施して仕上げるパターンもあります。
硬化させるという意味ではUVは必須なのですが、その後の歪み変形という意味ではUVが敵になります。

イソプロピルアルコールは大量買いがお得

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洗浄で使用するイソプロピルアルコールは1Lで購入すると1,000円以上はしますが、実際光造形の頻度が高い人は1Lではとても足りません。弊社では荒取りと仕上げに分けて洗浄しているので、かなり使用量が多いため、一斗缶で購入しております。18L入って6000円以下ですので約1/3くらいのコストで購入することができます。

付属のヘラがありますが、先が丸すぎて全く使い物にならないため、カーボンヘラを使って造形物をビルドプレートから外すことをおすすめします。金属のヘラも付属しておりますが、金属だとビルドプレートを傷つける可能性があるため、使用しておりません。カーボンヘラは近くのホームセンターで200円前後で購入できます。

低価格光造形機とはいえ、ても優秀な出来栄えでしたので、追加購入してMARSは2台体制にしております。

今後は個人企業問わず光造形機の導入をお手伝い致しますので、光造形機導入のサポートが必要なお客様がいらっしゃいましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。

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