3D CADが一般的になりつつある時代ではありますが、日本の中小零細企業で三次元化が進んでいないのも事実であります。
では何故三次元化が進まないのか?その理由は元来の二次元文化の染み付き、現場エンジニアのコンサバティブな性格、提出書類という概念など、があります。
会社経営者が社内の二次元CADを三次元CADに変更したい。けど現場従業員がそれを拒む。ココ数年そんな状況の会社を何件か見てきました。
では更に理由を検証してみましょう。何故現場のエンジニアは現代の主流である三次元CADを使おうとしないのか?
理由は新しいソフトへの抵抗感(使いこなすまで時間がかかる、本当に自分にできるかの不安、二次元で仕事ができていること)経営者の先行投資情熱は現場エンジニアには理解されません。
では三次元CADを使うメリットを考えてみましょう。
図面が読めないお客様にも理解されやすい
(2次元図面)
取引先のお客様がいつも二次元の図面を読める人とは限りません。恐らく殆どのお客様は(特にエンドユーザー)二次元図面の読み方を理解していません。
二次元図面を読めるのは工業高校、工業大学で製図の授業を受けたり、会社でCADを利用した人くらいでしょう。
三次元であればパソコン画面中で自在に表示できるため、一般の方が見ても誰もが瞬時に製品形状などを理解できます。
幅広いお客様の前で自社製品のプレゼンするためにも三次元が圧倒的に有利です。
二次元化も楽々
(3次元データから作成された2次元図面 等角投影図があるため立体を理解しやすい)
一度三次元データを作成してしまえば、二次元図面への変換は驚くほど簡単です。
二次元図面は、正面図、平面図、側面図、の基本的な三面プラス、断面図、背面図、下面図、詳細図、etc…色々なルールに基づく表現にて二次元のキャンバス中に表現します。複雑な形状になればなるど、その表現は難しく、とある線が手前にあるのか?奥にあるのかも判別しにくくなります。
しかし三次元から二次元に変換する場合は、等角投影図(アイソメ図)も使えるため、同じ二次元の図面でありながら三次元空間を簡単に理解できます。
新人への先行投資額削減
前述したように二次元図面には多くのルールがあり、その学習にはある程度の時間がかかります。更に言えば実務レベルの二次元図面をマスターするためには、プラスアルファ多くの知識(社内独自ルールなど)が必要になってきます。
会社に入社した図面素人の新人に、CADを教育する場合、二次元を教育するのか?三次元を教育するのか?どちらが良いでしょうか?
答えは間違いなく三次元CADからスタートする方が、教えられる側も、会社側にも良いと思います。それはアジア系の先進国の良い例でしょう。アジア系の工場は歴史が浅く、日本のような二次元の概念がありません。それでも低コストで品質もそこそこの製品を生み出し、世界の工場として発展しつつあります。
それだけ三次元は、取っ付き易く、理解しやすく、覚えやすいのです。
二次元CADを否定するわけではありません。もちろん二次元の概念もとても大切な基本知識です。いくら三次元CADが普及したとしてもこの古典的な概念はずっと生き残るかと思います。
3Dプリンターのデータとしてそのまま使える
(3Dプリンター)
3Dプリンターによる試作開発が当たり前のように行われていることから見て、多くの企業で三次元CADが導入されていることが推察されます。それまで簡易金型を製作し高額な開発費を投じて行っていた試作開発は数万円レベルの少額投資でできるようになりました。これは会社単位のみの話ではなく、一般個人にもいえることです。マイクロモノづくりという言葉が誕生したように、一般個人でも家に小さな切削加工機、3Dプリンター、レザーカッターを置き、オリジナル製品を製造・販売できる時代です。
そのような加工機を使用するためにも3Dデータは重宝し、コレ無くして製品を生み出すことはできません。
三次元CADはレスポンス良く、自分のアイデアを形にして世の中にリリースするためには絶対に必要なツールと言えます。
レスポンス良い試作開発
(試作開発例)
先に書いたように、試作品に簡易的な金型が費用用だった時代もあります。金型をつくるためには莫大な費用と時間がかかり、クライアントからの変更要請があれば高額な費用を掛けて金型を修正しておりました。
一方3Dデータを用いて試作品を3Dプリントし、クライアントに試作品をレビューしてもらい、変更があればデータ上で変更を済ませて、また3Dプリントによる試作検証を行う。従来の方法と比較して低リスクで、最短の時間で試作開発が完了し、大量生産への切り替えがスムーズに行われます。特に最近は新製品開発に求められるスピードは速く、時間を浪費しているとライバル企業に先を越されてしまいます。
ペーパーレス化へ
二次元図面はパソコン上で表現もできますが、ほとんどが紙媒体での保存、使用になります。
相手先会社へ提出する図面が二次元図面、役所に提出する図面が担当者の印鑑入の図面、などまだまだ二次元が必要とされる状況が多いのも事実です。
最近ではメールを使ってDXF図面をやりとりしたり、PDFに落とした二次元図面を送信したりするのが一般的でしょう。受け取った側はそれをプリンターで出力し、実際の加工現場に利用したり、内容を吟味したりします。
パソコン上にメモ書きしたり、現場担当者同士での話し合いの際に、パソコンの画面を持って行ったりはしませんが、最近だと紙の代わりにタブレット端末が登場しつつあります。
まだまだ紙の利便性は上まらないものの、ペーパーレス化への波は確実に進みつつあります。
どうしても三次元CADを導入できない企業のために
以上、三次元CADのメリットをいくつか述べてきましたが、それでも三次元には抵抗があり、うちの会社には必要ないと思う企業もあることでしょう。
しかし、単発的に三次元データの作成が必要で、社内に三次元データを作成する人材やシステムがない場合でもご安心下さい。札幌立体データサービスが皆様を強力にバックアップし、二次元データを使いやすい三次元データに変換します。
単なる三次元化ではなく、機構設計や大量生産設計を付加してデータを作成致します。
もちろん3Dプリントもお任せ下さい。プラスチック素材のみならず、メタル素材、ゴム素材、石膏素材などにも対応しております。
高精度な光造形を使うことによって、強度も品質も良い試作品を造形することも可能です。お気軽にお問い合わせくださいませ。
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