今回のご依頼内容
今回のご依頼は酪農業で使用する部品を複製し、ストック品としていくつか3Dプリントする案件です。
もちろんメーカーで販売している成型品を購入した方が圧倒的に安く手に入るのですが、残念ながらメーカー製造終了品ということで、状態の良い現物を1つお預かりして採寸します。今回は3Dスキャンではなく3D-CADによるモデリングでデータを作ります。
SolidWorksでモデリングされた部品
光造形のための造形データ
本物の材質はガラス入りナイロンと推察、3Dプリントでは同強度が出せない点を依頼者に同意を得て製造となりました。
SolidWorksで基本形状をモデリングし、3Dプリントデータを作成します。ここで重要なのはレジンの収縮を加味すること。今回の部品は他の部品との組み合わせがあるため、ある程度の精度を持たせることです。
3Dプリントの場合、どうしてもオーバーハング部分にサポートを設けなければならないため、上写真の造形データには、細い棒状の構造物が無数に配置されております。
3Dプリントは18個同時に行いました。ガラス入りナイロンの強度は出ませんが、今回はABSライクレジンを使用して3Dプリント。サポートは弊社で取り外し。どうしてもサポート除去面の肌は荒れますが、今回の使用用途には影響しないため、荒れた面でも問題ありませんでした。
納品後お客様から、問題なく使用することができたとのご報告をいただきました。こうした3Dプリンターを使用した、製造終了品を3Dプリントする場合、色々と条件があるため、全ての複製案件に当てはまるわけではございませんが、もし今回のように、部品の復刻や廃盤品の製造希望がある場合は一度弊社までお問い合わせくださいませ。
3Dプリントで複製可能であるか否かの条件
①大きさが3Dプリント可能なサイズであるか否か
弊社で3Dプリント可能なサイズ
光造形の場合:345.6×194.4×400mm
熱溶解積層方式の場合:200×200×170mm
※弊社で対応できないサイズに関しましては、外注で対応させていただきます。
②材質
弊社で3Dプリント可能な材料
光造形の場合:UVレジン・ABSライクレジン(色は白・黒・グレー・肌色・半透明・他)
熱溶解積層方式の場合:ABS樹脂色は白・黒・ナチュラル・他)
※弊社で対応できない素材に関しましては、外注で対応させていただきます。
③表面精度
3Dプリントの場合、積層による等高線が表面に現れる場合(特に熱溶解積層方式)があり、表面の滑らかさが求められる場合、表面の研磨やパテ盛りを行い、成型品のような滑らかさにした商品を納品した事例もございます。
④強度
3Dプリント製品は射出成型品ほどの強度は出ません。今回の案件でも成型品はガラス入りナイロンでしたが、強度が必要ないとのことで、ABSライクレジンを採用していただきました。ABSライクレジンも本物のABSライクレジンではなく、あくまでもABSに類似させたレジンであるため、成型品ABSのような強度はありません。
⑤表面色
通常の3Dプリントの場合、3Dプリント材料の色がそのまま表面色になりますが、必要に応じて弊社で表面塗装を行うことも可能です。
この他にも様々な条件がございますが、3Dプリントで少量生産するメリットは金型費用がかからないだけではなく、短納期でお客様に製品をお届けすることが可能になります。お気軽にお問い合わせください。