皆さんは3Dモデルにもたくさんの種類があることはご存知でしょうか?
普段はあまり意識しない3Dですが、使用する業種によって様々なものが存在します。例えばアニメやフィギュアのデザインで使用するCGデータは3Dプリンターでは使えないものがほとんどです。そして機械設計者が使用するCADでは製作データをそのまま3Dプリントできるものの、フィギュアのような自由曲面デザインが苦手であるのが一般的です。
では、具体的にそれらは何が違うのでしょうか?
簡単に言ってしまえば、「中身があるかないかの違い」です。
ソリッドモデルとはようかんのように中身が詰まっているボディーになります。ソリッドの特徴は実際の素材のように切ったりつなげたり加工が簡単にでき、中身があるので、重量計算や体積計算が可能です。またソリッド同士での干渉チェックも可能です。しかしソリッドモデルはメリットだけではありません。デメリットもあります。ソリッドモデリングのほとんどは数値制御であり、複雑なモデルに対しての編集能力が劣ります。また、ソリッドデータは表面だけではなく中身が詰まっている分データ量も多く、PC内部での処理計算に時間がかかるのも特徴です。(最近のPCは性能が良いため計算時間のストレスがないことが多い)
ですので、ソリッドモデルは工業製品(建築資材、電気部品、家庭用雑貨)の設計特化しております。
では、一方のサーフェスはどうでしょうか?サーフェスモデルのイメージはふうせんです。ソリッドとは違って面だけで構成されている面の集合体なのです。
最初の画像をご覧になって分かる通り、中身が無いため質量(重さ)がわかりません。中身がないため、ボディーの干渉具合も計算できません。ソリッドボディーであれば、共通部を計算してその部分だけを残したり、逆にその部分を引き算したりすることもできますが、サーフェスの場合はボディー同士での足し算引き算が全く出来ません。しかしデメリットだけではなくメリットもたくさんあります。ソリッドでは自由曲面のデザインが困難であることが一般的ですが、サーフェスモデリングはねんどを使って造形するようなイメージで自由曲面を思い通りに編集することが可能です。主にキャラクターデザイン、インテリアデザイン、などデザイン系に特化したモデルです。
まとめです。今回はソリッドボディーとサーフェスボディーの違いについて解説しましたが、昨今のソフトではこの2種類のボディーを相互変換できる機能を持っています。サーフェスボディーは面に穴が開いていなければ大抵の場合ソリッド化することができます。ソリッドモデルは表面だけ残して中身を抜くだけなので簡単にサーフェス化することができます。
冒頭で「アニメやフィギュアのデザインで使用するCGデータは3Dプリンターでは使えない」と言いましたが、昨今のソフトウェアは少しづつではあるものの3Dプリンターに対応してきております。今後フルカラーの光造形機などが登場するとアニメフィギュアやオリジナルフィギュアの3Dプリントが手軽にできるようになるかもしれません。