熱溶解積層法3Dプリンターの日常メンテナンスでやってきおきたいこと5選

家庭用の3Dプリンターとして圧倒的なシェアを持つ熱溶解積層法式3Dプリンターですが、ユーザーの皆さんは日常的にプリンターの手入れはしておりますでしょうか?

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①各軸摺動面への注油
各軸への注油はとても大切です。例えばX軸の油が不足するとX軸だけが動かなくなり、途中から3Dプリント中にレイヤーがX方向にズレる現象が起きます。
弊社で使用している潤滑剤はどこのホームセンターでも売られている呉工業社製のスプレータイプの潤滑剤です。
注油のタイミングは使用頻度や環境によって異なりますので、一概には言えませんが、弊社では長時間造形を行う大切な3Dプリントの前には軽く注油するように心がけております。

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②ポリイミドテープの交換又は接着性の回復
ヒーテッドベッド上に貼り付けるテープで最も良く使用されているのがポリイミドテープです。
一般的にカプトンテープの名で売られているポリイミドテープですが、物は全く一緒です。
ポリイミドテープは手脂などが付着することで、樹脂との接着性が悪くなります。接着性を回復させるためにはポリイミドテープ表面を脱脂する必要があります。弊社ではホームセンターに売られている乾燥スプレー(ブレーキパーツクリーナー)を吹き付けて拭くことにより新品同様の接着性が回復します。接着力がない状態で3Dプリントすると、3Dプリント中にプリント品が脱落失敗する可能性が高くなります。

③Z軸の高さ調整
Z軸の高さ調整とは、ベッド面とノズル先端のクリアランス調整です。非常に重要な作業で、これを行うか否かで3Dプリントの成功率も変わります。
ノズルとベッド面のクリアランスが極端に少ないと、3Dプリント第1層目に樹脂が潰れすぎ、最悪の場合ノズルがベッドにこすれて傷をつけてしまう場合もあります。
逆にクリアランスが大きい場合はベッドと樹脂の接着面積が少なくなり、3Dプリント中にベッドから造形物が脱落することもあります。

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④ノズルの清掃
粗悪なフィラメントを使ったり、悪条件で3Dプリントした場合ノズルが詰まることがあります。弊社では3Dプリンターの稼働時間が多いため、ノズル先端に焦げた樹脂が付着し3Dプリント中に悪影響を及ぼすことがあるため、定期的にノズル清掃を行っております。ノズルの清掃方法は色々あるかと思いますが、弊社ではアセトンの中にノズル先端のアルミブロックを漬け込み、内部や表面に焦げ付いた樹脂を溶かし出します。特に弊社はABS樹脂を3Dプリント材料として使用するため、アセトンによる清掃がとても有効です。ちなみにアセトンは扱いに注意が必要ですがインターネット購入が可能です。

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⑤下部の清掃
3Dプリンターのオペレーティング業務中に、細かな樹脂破片がプリンター下に落下することが多々あります。細かな破片ですのですぐに悪影響が出ることはないかと思いますが、時に摺動面やネジ部に付着することもありますので定期的に清掃することをオススメします。

以上熱溶解積層法式3Dプリンターの日常メンテナンスについて弊社が行っている物を5つ列挙させて頂きましたが、機種によっては他にも必要なメンテナンス業務がある場合もありますし、メーカーが推奨するメンテナンス方法もあるかと思いますので、適宜3Dプリンターに合わせたメンテナンスを実施して頂ければと思います。
メンテナンスを行うことにより3Dプリンターの調子が良くなったり、3Dプリントの成功率が上がったり、事前に3Dプリントトラブルを防いだりすることができます。ご参考までに。