球体形状の光造形についてサポートの配置を考えてみる

球体形状の光造形についてサポートの配置を考えてみる

3Dプリンター永遠の課題

3Dプリンターの世界で永遠の課題とも言えるサポート材の配置問題。粉末焼結積層方式の3Dプリンター以外は例外なくこの問題がつきまといます。光造形もUVレジンという流体(造形中に動いてしまう流体)を材料にしているため、45度よりも鋭角なオーバーハング形状に対してはサポートという柱を、造形物とビルドプレートの間に配置しなければ3Dプリントはできません。

そこで技術者は、サポートの配置位置を工夫して、外観に問題がないように試行錯誤します。しかし今回取り上げている球体形状はどこにサポートを配置しても必ず製品面にサポートとが接続され、サポートを外すと痕跡が残ってしまいます。

今回は右のようなモデルを用意してみました。本来は上の球体のみのモデルなのですが、置く際に転がってしまうため、下に土台を付けたデザインとなっております。

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サポートの配置を考えてみましょう

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何も考えずにサポートを配置してしまえば、左側のような感じになります。これでは球体の下と台座の上側にサポートの痕跡が残ってしまいます。次に右側のように寝かせて配置してみますと、正面にはサポートが見えないものの、後ろ側にサポートの痕跡が残ります。

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ホワイトレジンで3Dプリントするとサポートを外した痕跡はあまり目立たないのですが、他色レジンで3Dプリントすると、痕跡がかなり目立ちます。試しに青色で塗装してみると、ゴルフボールのように表面が凸凹していることが確認できます。

モデル形状に一工夫

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外観にサポート痕跡を残したくなければ、内側にサポートを立てるしかありませんので、分割モデルを作成し、3Dプリント後に接着させる方法をとります。

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接着してしまえば、ちゃんと球体形状になり、サポート痕跡も見えない内側にあるため、外観を損なうことなく3Dプリントができました。
問題点があるとすれば2つ

①接着面の反りはNG

接着面が平らで平行であれば問題ありませんが、光造形の場合、造形後の二次硬化により3Dプリント品全体に反りが発生します。左の写真でもうまく接着できているように見えて、頭頂部の尖り部分先端は完全に接着ができておりません。

対策としては二次硬化前に接着を行い、そのまま塗装&UVカットクリア塗装で仕上げることが有効かもしれません。

②3Dプリントなのにパーティングライン

通常パーティングラインとは、射出成形やブロー成形で製造されるプラスチック製品に見られます。このラインは金型と金型の境界線に出る線なので、3Dプリントではパーティングラインという概念はありません。

今回のように分割造形したものを接着してしまうと接着断面が線として外観に見えてしまいます。

総括

3Dプリントにおいてサポート痕跡問題は技術者を悩ませる大きな問題です。モデルを回転させたり、モデル分割してみたり、場合によってはモデルからオーバーハング形状を無くしてしまうこともあるかもしれません。

熱溶解積層方式、光造形3Dプリント双方で、この問題解決に多くの時間を使ってきましたが、将来的にポリアミドを使った粉末焼結積層方式の3Dプリンターにも価格破壊が起こり、3Dプリンターユーザー誰もがサポート除去問題に悩まなくて良い時代が来てくれることを願わんばかりです。

ちなみに筆者も10年以上前に金属粉末焼結積層3Dプリンターを使っていましたが、粉末は粉末で色々と問題があります。
粉塵問題、使用後の粉ふるいにかける煩わしさ、レーザーパラメーターでの条件出しの奥深さ(レーザーパワー、スピード、レーザーの太さ等…)どんな3Dプリントにも一長一短あります。