これから3Dものづくりに入門する人がインストールしておきたいソフト7選

3Dプリンターを使って物を作りたい!昨今のデジタルファブリケーションの流行を感じている人も少なくなはいと思いますが、まず何から始めて良いのかわからない人って多いかと思います。
手っ取り早く電気屋さんで家庭用3Dプリンターは買ってみたけど、3Dデータが作れない!では全く意味がありません。
なので今日は3Dデータの作成から3Dプリントまでの一連の流れに照らし合わせながら、弊社の独断と偏見で(笑)3D初心者がインストールして欲しいソフトを順を追って説明していきたいと思います。

まずは3Dデータ作成ソフト3D-CAD

3D-CADは現在有料で使えるもの無料で使えるもの、デザイン系、プロダクト系、用途によって色々なものがあります。
初心者であれば無料の3D-CADで全く問題ありません。以前までは無料の3D-CADは英語版ということが多かったのですが、最近はどれもこれも日本語化されて使いやすく敷居が低くなっています。

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Fusion360
各種ケース、キャップ、小物、日用雑貨、容器、部品、など寸法がハッキリ決まっている工業製品をデザイン設計する場合は、メカニカル系(パラメトリック系)の3D-CADを使用します。
メカニカル系3D-CADの中で今一番人気なのがこちらAUTODESK社のFusion360です。Fusion360は実質無料で使用できるのですが、条件としては学生または教育機関であること、または事業売上10万ドル以下のスタートアップ企業または非営利団体であることですが、仮に購入したとしても月額が非常に安くて、驚きの高機能搭載3D-CADです。商用利用も可能ということです。
単に3D-CADではなく、レンダリング機能、アニメーション機能、CAEシミュレーション機能、工作機械で物を削るために必要なデータを出力するCAMの機能までフルパッケージになっています。普通に考えれば800万~1000万円くらいの価値があるパッケージですが無料で使用できます。
弊社ではメインのメカニカル系3D-CADとしてSolidWorksを使用していますが、100万円超えのSolidWorksと比較してもFusion360は体感的に60~70%くらいのことはできていると感じます。操作感や利便性は圧倒的に有料であるSolidWorksには敵いませんが、初心者が使用するメカニカル系3D-CADとしては必要十分な機能を搭載しているのはいうまでもありません。
元々は英語版でしたが、2015年9月に日本語化されて使いやすくなりました。

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Meshmixer
動物、人、植物、キャラクターデザインなど、寸法は必要なく直感的に粘土をこねるかのように形をデザインする場合は、デザイン系(ノンパラメトリック系)の3D-CADを使用します。
その特徴は寸法のパラメーターが無い分自由にデザインはできますが、再現性がありません。メカニカル系のような作業履歴データがありませんので、修正箇所があれば都度編集が必要になります。
感覚的には粘土をこねるような感覚で引き伸ばしたり、平滑化したり、削ったりして編集していきます。
3Dプリント用の素材サイトで転がっているSTLデータを編集する際には重宝します。
更にメーカーボットを含むストラタシス系列の3Dプリントデータをこのまま作成することもできます。サポートの設定も全自動でできたり、3Dプリントを意識した3D-CADソフトとなっております。
こちらのソフトも元々は英語版でしたが、2015年秋に日本語化されて使いやすくなりました。

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Metasequoia 4
こちらもノンパラメトリック系3D-CADですが、株式会社テトラフェイスが開発販売している純日本製3D-CADソフトです。初期バージョンリリースから17年と歴史も長く、関連ソフトアドインソフトも多数リリースされています。
もちろん全て日本語ということで、Metasequoiaに慣れている人はこのインターフェイスが使いやすいと思います。
無料版として使うこともできますし、お金を払えば有料版として使用することもできます。その違いは一部の機能制限であり、一番高いライセンスを購入しても2万円弱ととても安価な価格設定です。
安い3D-CADですが、編集機能は幅広くユーザーもアマチュアからプロまで様々な人が利用している3D-CADです。

次に3Dプリント用のデータを作るスライサーソフト

スライサーとは、3D-CADで作成した3Dデータを3Dプリンター用データに変換するソフトです。その正体はGコードと呼ばれるデータで、XYZの座標値や各種温度、造形速度などの情報が全て入っております。
スライサーは各メーカー色々なものがあるのですが、本ブログでも紹介した通り、スライサーによって3Dプリント品の仕上がりが違います。つまり3Dプリントの精度や綺麗さなどは全てスライサーによって決まるといえます。
一部3Dプリンターは、専用スライサー及び制御ソフトまで同梱されているものもあり、下記のスライサーが必要ない場合もあります。

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slic3r(日本語・無料)
slic3rは初心者用のスライサーです。ビギナーモードとエキスパートモードの2種類があり、ビギナーモードで使用すれば、とても簡単にスライスデータを作ることができますが、簡単である反面、細かな3Dプリント品の仕上がりはあまり良くありません。大雑把で大きなものを3Dプリントする場合はslic3rで十分かと思います。

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KISSlicer(英語・無料)
中級者向けには間違いなくこのKISSlicerです。操作画面は全て英語なので使いにくそうに見えますが、慣れるとこちらの方が使いやすいです。プリンターを複数登録することもでき、設定範囲もとても幅広く、RepRap系の3Dプリンターを使ってこだわったセッティングをするなら、間違いなくKISSlicerが必要になってくるでしょう。KISSlicerは基本的に無料でも利用できますが、42ドル支払うことによりPRO版(機能制限が解除される)を使用することも可能です。PRO版にした時のことをビジネスブログにしてありますので、下記もご参照下さい。
http://rittai.jp/kissslicer-pro-license/

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Simplify3D(英語・有料)
上級者向けには是非このSimplify3Dをオススメします。本日は入門編なのに上級者向けスライサーの話をしてしまい申し訳ございません。
Simplify3Dは140ドルで購入できる高機能高性能なスライサーです。140ドルは決して高くはないと思える機能満載です。まず便利なのが簡単に剥がせるサポートを生成できることです。上記2種類のスライサーはサポートがモデルに完全溶着してしまっているため、除去に大変苦労しますが、Simplify3Dで生成されるサポートは、不思議なくらい誰でも簡単に除去できます。
また、画面内でのスケール変更や回転、位置の移動など容易にでき、サポートのサイズや配置も簡単に設定可能、要らないサポートはマニュアル操作で1本ずつ除去することも可能です。
Simplify3Dは単にスライサーではなく3Dプリンターを制御する制御ソフトとしても使用することが可能です。スライサーから3Dプリンターまでシームレスに操作ができるところが、さすが有料3D-CADですね。

最後は3Dプリンターを制御する制御ソフト

制御ソフトとは実際に3Dプリンターを動かすソフトです。上記スライサーで作成したGコードから自動運転を行ったり、マニュアル的に3Dプリンターの各所を動作させることができます。
スライサーの件でも書いた通り、一部の3Dプリンターには専用の制御ソフトも同梱されている場合があり、下記の制御ソフトが必要ない場合もあります。
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pronterface(英語or日本語・無料)
無料で使用できる制御ソフトで一番人気なのがこのpronterfaceです。ヒーテッドベッドやノズル温度の上げ下げ、XYZ各軸の動作など基本的な操作ができることと、GコードやMコードを使うことにより、自分オリジナルのコマンドを登録することもできます。
pronterfaceは基本英語なのですが、日本語化することも可能です。弊社はムトーエンジニアリングが出している日本語化バッチを当てているためpronterfaceは全て日本語化されております。
3Dプリント時間、必要な樹脂量などはスライサー側でも計算されますが、改めて制御ソフト側でも確認することができます。
先に紹介したSimplify3Dには制御ソフトも付いているため、pronterfaceは必要ありません。Simplify3Dの制御画面はオーバーライド調整や緊急停止ボタンなど付いており、本物のマシニングセンターのような使いやすい仕様となっております。

今回紹介したのはほんの一部

以上のように弊社の独断と偏見で3D-CADから3Dプリンター制御ソフトまでを紹介致しましたが、これらソフトはほんの一部に過ぎません。紹介しきれない機能などもまだまだあります。
まず自分の使用目的に合う3D-CADを見つけて使ってみることが重要です。次に様々な情報から自分が使用したい3Dプリンタを選び、必要に応じてスライサーや制御ソフトを選択します。今は3Dプリンターが無くてもクラウド型3Dプリントサービスビューローが何社かあります。まずは3Dデータを作成編集できることが重要です。この春から3D-CADを新たなる技術としてマスターしてみてはいかがでしょうか?