FDMとSTLの精度の違い

今日は3Dプリンターの違いによる品質の違いについての記事です。
FDM(熱溶解積層法)とSTL(光造形積層法)の製品比較なのですが、わかりやすく言ってしまえば家庭用3Dプリンターと業務用のハイエンド3Dプリンターはどれだけ違うのですか?という話です。

fdm_stl_precision_gap_test_01

(上)熱溶解積層法式3Dプリント(家庭用)atom + KISSlicer
(下)光造形方式3Dプリント(業務用)Projet HD3500
並べて比較してみると一目瞭然です。1000万円の光造形方式(STL)タイプ3Dプリンターと20万円の熱溶解積層法式(FDM)タイプ3Dプリンターではここまでの違いが出るものです。

fdm_stl_precision_gap_test_02

光造形は3D SYSTEMSのProjet HD3500を使用しております。
FDMが0.1mmの精度まで出せるとしたら、STLは0.02mmくらいの細い形状までも3Dプリントできる高精度なものです。
機械的強度で比較してみても、隙間が多いFDMより中身がシッカリ詰まっているSTLの方が強く壊れにくい(レイヤー同士の結合が強い)

そんなメリットばかりのSTL法ですが、欠点もあります。
薄い板形状のモデルを造形すると反りが発生することがあります。これは設計で回避できることもありますが、造形物内部に残る残留応力により曲がってしまいます。
コストの面を見てもイニシャル&ランニングが高く、さらに言えば人体に良くない薬剤を使うため、シッカリとした作業環境を準備でき、予備知識を持った個人及び法人が取り扱う必要があります。
最近はコンシューマ向けの安価な光造形機も登場し、個人が気軽に光造形を行える時代になりつつありますが、FDMもまだまだ使用用途によっては戦闘力の高い3Dプリンターだと言えます。